影からの訴え
- 2022.08.06
- 小説
巫女が、その男の霊魂を察知したのは偶然のことであった。 いささか不穏を感じた巫女ではあったが、当該、今の自分がこの土地に居るという行き掛かり上、警戒をしながらも、その霊魂と対話を開始したま […]
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巫女が、その男の霊魂を察知したのは偶然のことであった。 いささか不穏を感じた巫女ではあったが、当該、今の自分がこの土地に居るという行き掛かり上、警戒をしながらも、その霊魂と対話を開始したま […]
1 殺人犯の来庁 「で・・・その、つまり、君が神原(かんばら)教授を殺害した、ということで良いのかね?」 「はい。私が教授を殺しました」 それを聞いて、困ったような表情で、パイプ椅子の背もたれに身体を預け […]
閻魔の憂鬱 白赤岩で作られた大きな露天風呂から、白桃の湯の甘い香りがもうもうと沸き立っている。 両性花であり、大きな花びらが特徴の真っ赤な艶やかな極楽花が、大岩の湯船の周囲を覆い隠すように […]
朝日のない朝 スマートフォンのアラームが鳴っている。仕事の日の朝は、この瞬間が本当に嫌い。 頭が重い、けれどなんだか、今日は妙に身体が軽く感じた。腰痛持ちの私には、起床時のこのタイミングで、一日のコ […]
中学二年生の二学期にもなると、いよいよ来年の高校受験へ向けて中間テストでも本気を出していかないと内申点に響いてくる。 キッチンで晩ご飯の支度の最中である母親から、そんなことをクドクドと言わ […]
~ 1 ~ あの時までは、なんとか搭乗時間には間に合いそうだったのに。 そう、あの少女に出会わなければ・・・。 大阪で画廊を営む私が、わざわざ東京へ十五号の洋画三点を直々に納めに出向く事になったのは、 […]
僕はあのときが、身内ではない人の、身近な存在の人の死というものを、初めて実感した瞬間だったのかも知れない。 体育館で、僕らの腰を置く冷めたい床の感覚よりも、同学年たちのすすり泣く声が反響している空間の、 […]
ワンシーン(短編小説) スマートフォンを揺らしたのは、彼女から「急ですがこれから会えますか?」というメッセージであった。彼女というのは同郷の年下の幼なじみのことであるが、しばらく連絡は取り合っていなかった […]